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インドネシア通信

 :: 産油国で燃料不足? ::     神谷 典明

 今年中盤よりインドネシア全土で燃料不足をきたしております。
 添付写真は小職がジャンビ空港から町に向かって走る際に撮ったものです。
 炎天下数キロにわたって続く車列に驚きました。
 ジャカルタでは前夜から寝ずの行列をしている、と昨夜のテレビが報道しておりました。
 蚊が刺してさぞかし寝苦しかったことでしょう。
ガソリンスタンドはグチャグチャ
ガソリンスタンドはグチャグチャ
ジャンビ市内のガソリンスタンド
ジャンビ市内のガソリンスタンド
ジャンビ市内のガソリンスタンドに続く行列
ジャンビ市内のガソリンスタンドに続く行列
燃料不足を続けるTV報道(7月7日)
燃料不足を続けるTV報道(7月7日)

 小職の担当している工場でも燃料切れでたびたび操業が止まります。

 工業用電力も発電燃料切れで送電中断が増えます。
 昔と違い文明国となってしまったインドネシアでは、ストロンケンのランプではもう生活が成り立ちません。
 油と電気が無ければ産業も維持できません。
 どうしてこのような問題が産油国であるインドネシアで勃発してしまったのでしょうか?
 
 その理由を分析すると下記の如しです。
 
1)インドネシアに石油精製プラントが極めて少なく、基本的には原油を輸出して精製された石油製品を輸入しております。
2)その輸入に際して政府より補助金を用意して石油製品の価格を低く抑えております。
3)今回はこの仕組みに以下齟齬が生じました。
・今年の補助金支払い枠を、6月までに6割が用意されるはずでしたが7月になっても4割しか用意されず、結果不足分に相当する石油製品輸入が出来ていない。
・補助金予算査定の際の原油価格は40ドル台で見積もっていたのに、ここへきて60ドル以上まで急騰して来ておりその分補助金原資が不足している。
・査定時点での為替は対ドル8000ルピア台後半であったのにその後9000ルピア台後半までルピア安となっており、その分用意したルピアに対するドル額が減少している。
・石油製品を独占販売する石油公社プルタミナ社の各州への配給が順調に行われていない。
 
 最後の項が最も大きな問題なのではありますが、長い目で見ればこのような補助金行政のあり方も問題だと思います。
 しかし補助金を全廃すれば一挙に石油製品価格は消費者が使用できない範囲にまで急騰してしまいます。(現在2000ルピアの軽油がスタンドで並んで買えば2500ルピア、闇で買えば10000ルピアの値もつくと 笑っていました。)
 兎にも角にもインドネシアは産油国であるくせに十分なる石油精製プラントを国内に設けず、原油を輸出して石油製品を輸入すればよいと言う安易な政策を採ってきたことに一番の問題があると小職は思います。
 
どうしてこのような政策を採ってきたのでしょう?
・原油を輸出する際に裏金、
・石油製品を輸入する際にも裏金、
・往復で裏金が取れるおいしい商売、
取引の回数が多くなれば為るほど裏金を取れるチャンスも多くなる、
これは合法的な汚職マネー創出機。
国民の生活より自分のポケット。
在任中如何に稼ぐか…
金を掛けて買ったポストならば在任中に元を取らねば損損。
汚職は仕事の潤滑油。
清き水に魚は住めない…(忍び笑い)