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【インドネシア通信 :::::はたまた天災?人災?  】

      
                         神谷  典明
世の中には思いもよらぬ事が起るものです。
特にインドネシアにおいては…
今、東ジャワで大変な災害が起きております。
 
地面から有毒物質を含んだ泥がガスと共に吹き出し
止められなくなってしまいました。
場所はスラバヤから延びる高速の両側、PORONGと
GEMPOLの間です。
水蒸気のような、はたまたガスのようなものが泥水と
一緒に地中から吹き出し、遠くからでも一望できます。
吹き出た泥水で田畑も家々も村々も埋まり、辺り一帯は
泥海と化してしまいました。
しかもただの泥ではありません。有害物質を含んだ泥です。
冠泥した土地はこの先何年も植物が育たないでしょう。
緊急に土手を築いて高速道路や付近の町に泥水が来ない
よう防いではおりますが、逃げ場を失った泥水は土手の
内に留まり、何時消えるとも知れません。
土手を壊せば内側の泥は減りますが今度は冠泥地帯を
広げてしまいます。
しかも、何と!…泥水の噴出は止まっていないのです。
 
高さ4m、幅2mの大きな土手を築いても、刻々と増える
泥水の圧力で何時決壊するとも知れません。
何せ泥を盛り上げて作った土手ですので。
 
何故地中から泥を含んだガスが噴上げているのでしょうか?
聞くところに依ると、とある大手グループ企業が天然ガスか
何かを狙ってボーリングをしていたそうです。
ところが吹きだしたのは泥、しかし止めようにも圧力が高く
蓋が出来ない状態なのだそうです。
吹きだしたのが天然ガスだったら蓋が出来たのでしょう。
このボーリングプラントを作ったヨーロッパのメーカーに頼んで
何とか蓋をしようとしているそうですが、叶っておりません。
『儲けるために掘ったら化け物が出てきた』
…ジャワ版『雀のお宿』です。
 
お陰で高速道路は泥で埋まり通行禁止、スラバヤから西へ
向う人は全て大変な渋滞に巻き込まれてビジネスチャンスを
逃がし、付近の住民は家から逃げ、田圃も畑も台無しです。
この損失たるや一体どれくらいに上るものでしょうか?
それも、現在進行形の話なのです。
 
このままでは泥水が土手を乗り越えてしまうでしょう。
泥水の噴出を止めなくては…と言いながら既に数ヶ月。
出てくるのを止められないなら海に出してしまおう、と画策を
始めた途端、海辺の漁民が猛反対。
水を濾過して有害物質を取り除き、『きれいになりました』、
と宣伝を始めました。
しかし、みんな懐疑的ですし、それに残った泥はどうなるの?
 
そうこうしている間も泥水は吹き出し続けます。
土手はもうアップアップの状態、土手を高くしてくれと付近の
住民からは悲鳴が上がる始末です。
その横で新聞は、『犯人捜しは止めよう、先ずは補償交渉を!』まだ問題が進行形なのに、もう補償(金)の話です。
 
でも忘れてはいけません。
…あとしばらくで、雨期が始まるのです。
 
インドネシア版『泥縄』の一節でした。